「国債はあり?なし?」……必要なければあるはずがない組織運営の基本ツール「日本国債(ローン)」について。

そういうわけで、前回まで「中央銀行はエアコンだ」とかお話したとおり、よく議題に上がる経済的な「むずかしい言葉」はむずかしい言葉ではなく『当たり前の道具』なわけです。

なので、世界各国にありますし、活用されていますし、活用しなければ辛いわけです。

美しい昭和初期へのノスタルジーのためにエアコンを禁止すべきだ!!……というのは愚かな事だということはみなさんにもわかるでしょう。

それの経済版が「金融政策(緩和)ダメ論」です。
あれはちょっとひねっていて……「暑いときに冷房(引き締め)はいいけど、寒いときに暖房(緩和)はダメだ、寒さは堪えろ、何だったらもっと冷房で気合を入れろ!!」……というような論なわけです。

【個人債権の代名詞「カーローン」の広告】名古屋銀行様より借りてきました、リンクも張っていますが「引用元」ということで特に案件とかではないです。

【日本国債はあり?なし?】

さて、では日本国債、これは善なのでしょうか?悪なのでしょうか?

……中央銀行のときのお話と同じで答えは「道具(エアコン)に善も悪もない」というのが答えになります。

「国債は借金じゃない!!」とまで言う人がいますが、ちょっとそこまで言うと話がややこしくなってしまいますので、とりあえず借金としましょう(というか借金です)。

では借金(ローン)はなぜ存在するのでしょうか?

簡単ですよね、初めの図(カーローン)のように「先にモノ(サービス)」が欲しいときに便利なものです。

家族ができて、みんなで移動することが多ければ、ローン金利を支払っての自動車の購入は「合理的」な判断になります。

「今支払いができないが、それを購入することにトータルで合理性があれば」ローン(国債)には十分な合理性があります。

【逆のパターン、有事の対応】

はい、で「先にモノが欲しい」とは逆のパターンで「今支払いができないが、それを購入することにトータルで合理性がある」ケースがあります。

それが「アクシデントに巻き込まれた」ケースです。

それが「個人の病気」であれ「新型コロナ」であれ「戦争」であれ、ひとまず重要なのは生き残る事です。

【ナシのケース、「遊んでる」場合】

……さて、当たり前の話が続きましたが、もちろんローンが合理的でないケースもあります。

それは用途が「合理的」でないケースです、例えば「単なる飲み食いの費用」や、「パチンコにつぎ込むため」のケースなどは、「家族で移動するために自動車を買う」ケースと比較すると合理性が無い事はすぐにわかるでしょう。

結局「国債」がアリか、ナシかを判断する上で重要なのは個人の借金と同じく「その用途が無価値でないこと」「借金の規模が収入に対して大きすぎない事」にすぎません。

【個人の借金との違い】

さて、では個人の借金(債権)と日本国債の違いはなんでしょう?

一つは主体の違いです、個人とは違い、国には「平均寿命」なんてないですから、企業の借金と同様、国は借金を「完済」する必要はありません。

国でも企業でも「経営破綻」する条件は簡単に言えば「利益の伸び」よりも「金利の伸び」が上回ってしまったケースだけですから、借金を完済しなくても世界の国も企業も平気な顔をして存続しています。

国の場合はさらに企業より有利な条件として「税金は強制的に徴収できる」ので、その安定性は企業より高く評価されて、結果金利も低くなりますし、日本のように「自国で円が刷れる」場合だと、「経営破綻」の可能性はほとんどゼロに近いほど低くなります(MMTのようにバカな規模の借金をしようとしない限り問題はほぼ起きません)。

ましてや「日銀が破綻する」というのは狂った見解です(日銀のバランスシートを見ると、負債の初めに書かれているのは「発行銀行券」つまり印刷した円です、当然無利子、円を発行できる主体が、円建ての借金で破綻という事が実現するには「ゼロに近い」複雑で無茶苦茶な政策が必要になります、今のように「インフレ率4%だけど、来年には戻っちゃうかな?」くらいの状況では……それで問題が起きるならアメリカが先に崩壊しているでしょう)。

【国がするべき支出(借金)の規模と遊び金】

さて、では「国は借金してまで支出するべきなのか?」という点について少し考えましょう。

これの答えは「中央銀行はエアコン」の話でだいたい書いていますが、基準になるのは「去年のGDPより2%増しで紙幣を刷る水準(インフレ率2%)」そして「需給ギャップが埋まるレベル」ということになります。

インフレ率
「どうやってインフレ(貨幣価値の下落)が起きるかわかるんだ?」という話をよく聞きますが、簡単に考えれば「去年のGDP+2%(歴史的な生産性の自然改善率→努力しなくてもそれぐらいは効率が良くなる)+2%(インフレ率)」くらいの貨幣供給をすればOKです(……で、多少の上下はおきますが、「今の日本」であればGDP500兆円ですから、20兆円くらいは根拠なく増やすべきだということです)。
貨幣といえども、所詮は「白菜と同じ」で、「だぶつけば安くなる」→「お金は、お金で買えるものとバランスしている=天秤の反対側はGDP」(総生産と総貨幣量でのバランス)なので、お金を増やすと一定のインフレが達成されます。

もちろん諸々の状況を鑑みて日銀は判断するのですが(よ!専門家!!)、言えば「無根拠に10兆円刷るのはデフォルト」というスケール感は把握しておくべきでしょう。

「インフレ率は気温・中央銀行はエアコン」というのが近代先進国のジョーシキ https://campsite7.jp/2021/11/28/19205/

需給ギャップ

さて、もう一つの基準、需給ギャップとは「国全体の需要(買いたい)」と「国全体の供給(売れます)」の比較です。

「買いたい」と「売りたい」ではなく「買いたい(含む将来への期待)」と「売れます(そこまで作れます)」の差である事に注意が必要です。

「売れます」は、工場(機械)やそこで働く人、チームワーク(仕入先などを含めたネットワークの効率)などで構成されていて、自由に変更できないのが特徴です。

「買いたい」は、もちろん最低限の消費量は人口などで決まりますが、「未来への期待値」がこれを上振れさせていることが特徴です。

需要には気持ちがかけ算されている

需要には「人間の欲」がかけ算されているという事がポイントになります(これがあるので、日銀などには専門家がいて、市場との対話、たまにムチを入れているわけです)。

……欲は「膨らむ」こともあれば「萎む」こともあります。

例えば今のように「伝染病だ」「戦争だ」となると、需給ギャップは「需要不足に」大きく振れることになります。

供給にはかけ算できるものがない

問題は「供給は気持ちでかけ算はできない」という事です。
(残業なりで多少は伸ばせますが、需要のように……例えば「どうしても欲しいからジャニーズのチケットが10倍の価格で取引される」みたいな柔軟な事はできません)

特に需要のマイナスが「大きく、長引く」とそのダメージを被る業界は(新型コロナ緊急事態時代なら飲食店)絶滅級のダメージを受けてしまいます。

「需要がマイナス10%」で「みんな仲良く10%のマイナス」を被るかというとそうではなく、だいたいの場合は「弱い企業」や「運の悪い業種」にダメージが集中するものです。

新型コロナ下では、みなさんもお知り合いの店がつぶれそうになって大変だったと思いますが、実際にこういったケースで「お店(工場)」がつぶれると、そこで動いていた「ビジネスのネットワーク(バリューチェーン)」が崩壊します。

羽鳥慎一のモーニングショーで「金クレ」とお話しした事について。

良い寿司屋なら、その寿司屋の「優良顧客リスト」は消滅し、その寿司屋さんにいいネタを納品することで稼いでいた「魚屋」などもビジネスが無くなってしまいます。

寿司屋が稼いで納税していた分もなくなり魚屋は失業、魚屋も大変、顧客もがっかりという形になります。

これが、大規模な工場だとより影響は明らかで、工員は失業、寿司屋ならすぐに「手に職」で仕事がみつかるかもしれませんが、失業者が失業保険をとれば国は「納税ゼロどころかマイナス」という結果になります、納品していた業者も苦境にたち、顧客はまあ「欲しくない」間は良いのですが、いざ「欲しい」となったら元の値段では買えない……ってな具合になります(工場を立て直すなら、その分の費用も乗っかってきます)。

なので、「ケインズ以降(AK……アフターケインズ)」は、不況期には「需給ギャップは政府が埋める」というのが原則になっています、供給力(GDPは……GDP(国民総生産)はその実態は当たり前ですが「みなさんの努力の結晶」)単なる数字ではないのです。

政府が支出すべきものは?

政府が支出すべきものはいろいろありますが、特にどこかの業界が痛んでいる(例:新型コロナ下における飲食業)という事であれば、その業界への補助金や支援金という事になります。

逆に「どこという事もない」のであれば減税が基本です。

「支出」ということで「なにか買わなければ」というイメージがあると思いますが、「税金を取らない」事も「単なる不況」であれば十分に効果があるのです(何かを買う→需要は国民・企業が担当してくれます)。

……と、同時に「国民の共有財産のメンテナンスや構築」についても国の「重要な支出」です、家族に車がいるように、車が走る道路は必要ですし、地震への備え、戦争への備えなど「個人や私企業で持てないもの」は国が準備することは「合理的」な支出となります。

……ちなみに今ちょっと話題になっている日本国債の「60年償還ルール」は「最悪の遊び金」です。

みなさんこの話題よくわからないと思いますが、これは「お金が余っているのに繰り上げ返済もせずに単に預金(予算)に積んでおくだけ(60年後に返すんだからその分を積んでおこう)」というもので、全く意味がありません。

無意味なんですからとりあえずそれは「投資に回す」べきでしょう、そうすれば増税は必要ありません(繰り上げ返済をして、軽くなった分の国債を発行して投資にというシナリオもありますが同じことです、とにかく「積んでおくだけのお金」を余らせて「予算はXX兆円規模だ」と官僚や政治家が「ドヤ顔」自慢している状態は無くすべきです)。

構造改革は好景気の時に

構造改革が大好きな人は「ダメな企業はつぶしてしまえ」と簡単に言いますが、戦争だとか伝染病だというときにそういう事をしたら、再就職は困難という事になり人生は暗くなり、しかも結局は国(国民)が失業保険などの形で補う形になり何のメリットもありません(国民をクビにはできません)。

「企業間の競争での自然淘汰」は「逆境時」ではなく「追い風の時」にするほうが良いのです。

失業者はすぐに「好調な企業・産業に」吸引されて失業給付も最低限のレベルになり、自然に産業転換も進みます。

「体調が悪いときは安静にして、トレーニングは元気になってから」という事ですね、あー今回も当たり前のことばかりですね。


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