「インフレ率は気温・中央銀行はエアコン」というのが近代先進国のジョーシキ

そういうわけで前回作った資料をベースに経済について別の切り口で解説をしてみます。

経済の動きは「机上の取り決め」ではなく、「人間が自由に行動するとこうなってしまう」というどうしようもない『歴史的法則』だという事、そして経済学はこの「社会の動き」を観察し、セオリーを導き出すものです。

「経理と経営はちがうのと同じように、経営と経済も違い、経済学者もラーメン屋を成功させる人は稀である」という事を念頭に置いてここからの説明を読んでくださると幸いです。

経済学は「カネに関するすべての事を律する神の法」などではなく有用な学問の一分野なのです。

医者に例えたらわかりやすいかもしれません、世界でも有数の内科医が居ても、心臓や脳を切れませんし、心療はできません、簡単な虫歯も上手くは治せないでしょう。

「経済学は経済(みんな)の役にしか立たない」専門知識ということです。

経済学者の専門知識がうまく使われれば、「全員が豊かになるはず」だからです(インフレで国の景気が良くなれば、みんながトクをするはずです……ま、一部、○中さんや、ケインズのような経営の才能もある経済学者もいますが、才能があることは良いことです)。

 

【経済学は全体を最適にする知識】

「経済学者が金持ちじゃないから信用できない」というのはよく言われる事ですが、それは当たり前です。

経済学の知見は「全体最適をどうすれば実現できるだろうか?」という課題への解決法を求めるものだからです。

「経営学者」はある企業が「他の企業を出し抜く経営手法」を研究していますが、「経済学者」は金儲けにはさほど役に立ちません(経済全体の変動を予測する事は経営判断の足しにはなるのでアメリカでは高給取りですが)。

 

【インフレは気温変化と同じ】

さて、それでは今日は「経済」でここ20年、よく聞くようになったワード「インフレ」についてです。

インフレは「貨幣価値下落」です。

そして、貨幣は「お金で買えるもの全て」とバランスしています。

 

愛は愛でしか得られないかもしれませんが、

他の多くのもの……白菜から企業(人間の労働と知恵と愛…人脈の結晶!)まで、ほとんどのものに法定通貨で「買える」値段がついていて、交換できる事からもわかるように、「貨幣」は「買えるもの全て」にバランスする存在です。

そして、現代ではお金は簡単に増減させる事ができます。

 

これは今のお金が例えば「金貨」ではないからです。

金貨であれば、数がふやせるのは「金鉱脈を掘り当てた時」くらいで、このため自由に貨幣の量を増やす事はできませんでした(金の含有率を下げる「改鋳」という方法もありますが、手間がかかって大変でした)。

 

このため経済危機を脱する方法も戦争による略奪くらいしかありませんでした。

これは「金の足かせ」と呼ばれています。

 

現代のお金はみなさんご存知のように「ただの紙」ですから、一万円札は20円で刷れると言われています。

一枚刷ると、今なら9980円儲かります。

100万円刷る時のコストは2000円です。

それどころか、オンラインで入金するなら、1兆円でもコストはほとんどゼロでしょう。

 

現代ではお金は簡単に増やすことができます。

なので、簡単に貨幣の価値を下げる事ができます、からインフレは起こせます。

インフレは「値上げ」の事では無く、「貨幣価値の下落」なのです。

(台風のときの白菜の値段も「台風で品質が上がった」とか「マーケティングの結果ブランド力が上がった」のではなく単に「量が減る」と価値が上がります、「全体の価値の変化」は「量」で起きます……このとき逆に「神聖なはずの貨幣の価値」は下がってしまっています、昨日まで二百円で交換できた白菜を受取るために高ければ六百円もの貨幣を支払う必要があります)。

インフレ率は概ねGDPとマネタリーベースの比率で決まります。

 

「500兆円のGDPがあって、通貨が500兆円→550兆円に増やされれば、インフレ率10%」というようなものです…

…が、株価が必ずしも「割り算」では動かないように、インフレ率も「ピタリと動かす」のは難しいのです(将来への予想や期待などが入ってくる)。

 

ですから、専門家、人間が入ってその調整を差配しています。

……高橋洋一教授のように「自動制御で良いじゃないか」という考えもありますが、プログラムミスやサービス(世界の中央銀行のアルゴリズム)の連携の失敗で株価のように「フラッシュ・クラッシュ」みたいな事も起きるかもしれませんから、現代ではまだ実現していません。

 

しかし、ここまで述べてきたように「経済学」は自国通貨を持っている「大きな枠(国)」単位では比較的カンタンなツール・判断で(通貨発行、そしてこれは話していませんが金利・公定歩合の変更)で制御しますから「全自動の経済金融のエアコン」は株の売買よりも簡単な仕組みで実現可能でしょう。

さて、ではこんなに簡単に起こせる「インフレは良いものなのか?」です。

 

答えは「率による」です。

インフレ率が低くなると、みんな「お金が大事すぎて、人を殺してでも金を増やそう(ブラック企業)」という気持ち(デフレマインド)になります、結果社会の循環が悪くなり不景気になります。

 

インフレ率が高くなると逆に「貨幣を抱えていても損をする(インフレ率5%なら、年始に300万円の車は、年末に契約しようとすれば315万円です)」ので「欲しいものは早く買う方が節約」になります。

当たり前ですが、みんないそいで手元の現金をコトやモノや証券(企業の所有権である株券は貨幣ではなく企業サービスが変身したものです)に換えようとしますから景気は良くなります。

 

……とはいえ、上のスライドに書いているように「限度」はあります。

高インフレ率では「お金の反対」にいる人間の労働価値も上がって行きますから、それで餓死する人はでないのですが、混乱は起きます。

 

田中角栄時代に起きた「狂乱物価」ではカネを刷りすぎたため年率20%オーバーのインフレが起こり経済は混乱します。

 

だれでも毎月毎月スーパーの商品がメキメキ値上がりしていけばパニックになります。

企業も計画をどう立てていいかわからなくなり、逆に経済の循環が落ち込み不景気になります。

 

この水準はイロイロ固まっている先進国で6%程度と言われています。

 

「インフレ(率)は良いもの、悪いもの」ではなく、気温と同じものです。

「気温は良いか悪いか」なんて議論しないでしょう?

大事なのは「暑いか、寒いか、ちょうど良いか」です。

 

【なぜ「インフレには大問題がある」と言われるのか?】

まー、インフレは「お金の価値を下げる」わけですから、お金持ちは基本反対です。

 

また金を貸してる側からすると、契約利率を上回るインフレが起きると「金を貸してるだけ損をする」状態になるので、戦争中など特殊な状態を除けば反対するのが常でした。

 

第一世界大戦で戦争のために各国金本位制を離脱しますが、戦後各国は金本位制へ戻ります。

 

しかし、金本位制による、強力なデフレ誘導(それまで自由に刷れた貨幣が、「金の保有量までしか刷れなくなる」のですから世界は一気に不景気になります)を受けて世界は一次大戦の混乱を収めきれないまま第二の世界大戦へと進んで行く事になります……。

 

【現代の経済学=エアコンが当たり前の世界】

さて、現代ではこれらの混乱とその収拾過程でケインズの主張の多くが「常識」となっています。

それは不況時の「財政出動」の重要性と共に「インフレ誘導」の重要性です。

(みなさんも忘れてしまったかもしれませんが、大学の一般教養で「インフレとはなにか?」を学んだはずです)

残念ながら第一大戦の収拾ではケインズの主張は受け入れられず、世界は第二の大戦へと進みました。

 

しかし、現代では「多少金持ちが多少損しても一定のインフレ率を保つことは結果全員のメリットになる」と了解されています。

 

現代の多くの先進国では中央銀行が「2%インフレ」という目標に合わせて通貨発行を増やしたり減らしたりして国民の活動に「快適な気温」を維持しようとしています。

 

言えば「中央銀行エアコン」付きの快適な金融環境でビジネスをやっているのです。

 

【コンジョー論は終わりにしよう】

その中で唯一日本という国は何故か「ホシガリマセン、カツマデハ」と温度管理を拒否し、経済が病体にあるにも関わらず「温度が低いほうが気合が入って良い!!」というような、謎の論理で国民を自殺に追いやってきました。

 

私達はもう第二次大戦同様の統制派官僚によるコンジョー論支配を捨てなくてはいけません。


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