<計画は体力と相談するゲーム>
登山や自転車に誘うと『体力がないから…』と肩を落としてみせる方が少なくありません。
おそらく登山というのは、『誰かに言われて、定まったA点からB点へと等速度で移動すること……』という数学の定義もかくや!!……という思い込みがあるのでしょう。
ですが、これは間違いです。
そんなものが世間で多くの人に受け入れられ、週末の過ごしかたにするわけがありません。
登山や自転車というのはもっと自由なものです。
もちろん制約はあります、山道は町の道よりも不自由で、どこにでもコンビニがあったり、400メートル歩けば地下鉄の駅がある……という訳にはいきません。
しかし、その制約の中で……例えば道端で花を眺めてもいいですし、2キロに一回程度の分岐で『今日はおシマイ』と山頂を目指さずビールを飲みに行っても良いのです。
自転車なら、見かけた銭湯に入ったり、喫茶店で遠くをみたり、駐輪場に自転車を置いて今日のところは帰宅……というような事でも完全にOKです。
体力を付けなくてはアウトドアは出来ないというのは逆の考えで、むしろ体力に見合った(しかもできるだけ楽しい)ルートを選び、しかも途中で雨が降ったらここで止めよう!……登山なら分岐や小屋を、自転車なら例えば駅……という持っているリソースを最大限に活用した”計画”を立てることこそが登山(トレッキング)の最大のゲームです。
アウトドアでは全てをコントロールするのはあなたです!!
<登山の計画>
始めにお伝えしたように、まず体力を考慮してコースを選びます。
どのルートを選ぶにしろ、大切なのは「途中でやめる」ポイントを用意しておくことです。
もちろん作れないコースもありますが、始めのうちはそういうコースを選択すること自体をやめましょう。
まあ、細かいことは言われてもわからないと思いますので、そういう場合は『おススメコース』を選んで始めてください。
このの立山三山のおススメでいえば、初めての方におススメなのは「室道から雷鳥荘又は地獄谷を回ってから、大走りの下の雪渓くらいまで歩いて帰ってくる 」というやつです。
これは登山というよりはトレッキングというルートです。
しかし、基本的には楽しいルートを楽しいだけ歩くのが本道、山にはノルマや目標管理制度はありません。
登山といえば頂上を征服するものだ・・・・・・と、とりあえず頂上を目指した計画を立てて様々な山を“征服”していくのは「ピークハンター」と呼ばれるスタイルで……大体「ロクな技術がなくても」というような形容詞が含まれるちょっとチャカした言い方です(とはいえ全く頂上に行きたくないという人も居ないと思いますが)。
ここで言う技術というのは、ひとつには計画力、ルートの情報を仕入れ、自分たちの体力や装備を把握して適切な行動計画を立て、繰り返して述べているようにエスケープルートを設計すること。
次に体力、計画通り歩け、余裕を失わない程度の体力と基本的な歩行・登攀技術を身につけていること。
そして危険察知力、これは正しい知識や経験、途切れない観察力(これには余裕が必要です)が必要です。
危険なことを危険と気づかなければ、エスケープルートなどの安全計画も無意味になってしまうからです。
どこでコースを選ぶにしろ、始めは「一番簡単なコース」「5時間以下のコース」そして可能なら「メジャーコース」を選ぶのが吉と思います。
「始めるのは近所の小さな山から……」という殊勝な心がけの方が多いと思います、気持ちはわかりますが、実際には「マイナーな低山」は非常にリスキーです。
マイナーな山は道の整備も予算不足で、情報・地図も曖昧、そして何か起こったときに通りかかってくれる人も居ないという三重苦だからです。
その点メジャーな高地登山(トレッキング)は『四重楽』で、(天気が良ければ)景色は目が覚めるほど良いですし、道の整備も丁寧で、情報もインターネットでも書店でも山のように手に入ります、そして結構な遅い時間でも人が行き来しています(何か起こったときだけでなく、道の情報なども手に入りやすのです)。
低山を選ぶ場合はメジャーな山、関西で言えば六甲山、しかもメジャールート(ロックガーデン→風吹き岩→最高峰)を選ぶべきです。
さて、先ほど少し触れましたが登山の楽しみの大きさは”お天気次第”です、私たちも『今日が始めての登山だったら、登山はやってないかもなぁ……』という日はあります、天気ですから当然運任せ、ですから始めは余裕のコースを選んで、雨ならさっとあきらめましょう。
時間が短くても好天なら十分に見所はありますよ‼!
次に、登山の計画で重要なのは、予備日を作ることです。
コースガイドに『2泊3日』と書いてあった場合『3泊4日』の予定を取るというのが重要です。
最後の1泊はもしも山中で天候不順に当たった場合『待機』出来るための日程です。
実は日本の山は地形の関係もあり、荒れるときは世界的には低い山が多いのですが『世界でも有数の』大あばれになる事があります。
有名な谷川岳なども、標高はわずか1977m、みなさんご存知のエベレスト8448mなどとは比較にならない低さですが、遭難者数は世界でも有数、これも谷川岳の急峻さと、日本の気候の特殊さのためです。
当然「超初心者登山」では谷川岳のバリエーションルートを選ぶことはありえませんが、日本の山も荒れると世界的なレベルで厳しい!と思い出してください。
その上でも『+1日』では足りないこともあります、が、まあそれは仕方ないでしょう。
ちなみに日帰りの行程の場合は『下山を14時頃』になるように予定します。
コースの解説書(解説地図)には日数とともに『コースタイム』というものが示されているものがほとんどです例えば『富士山の5合目→頂上:7時間』のような示され方をします。
これらに基づいて行動の計画を立てますが、コースタイムは「標準的な歩きの時間」なので誤差が出ます。
誤差はコースにより、体力によりさまざまですが、まあ『14時に終了』の予定を立てていればまあ大丈夫です、日没までの3時間が『予備時間』になるわけです。
コース選択のポイントははじめは『一番簡単なルート』『5時間以内のルート』『できるだけメジャーなルート』を選ぶこと。
計画の重要なポイントは『中断できるポイント』を作ること『予備日、予備時間(14時終了の予定)』を作ることです。
人生の楽しみをあなたのすぐそばのフィールドで!!
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