【記憶するとは「思い出せる」事】
なにかを「記憶する・覚える」という概念で僕たちは考えがちですが、実際には人間の脳は体験したことを脳から消すことはありません。
例えば夢の中に出てくる「見たことの無い人」というのは実際には脳が顔を「創作」しているのではなく、町などで見た「意識しては見ていない人の顔」が再生されるものだと言われています。
しかし、その人とどこで出会ったかは思い出せないでしょう。
自分とかかわりが無さ過ぎるので思い出すヒントも無いですし、そもそも思い出す必要性も無いからです。
このように人間が『記憶する』というのは、『覚える』というより『思い出せる』ようになるというのが正解です。
そして「記憶する」=『思い出しやすくする』ためには何が必要か?それは……『思い出す』事です。
脳は『それを思い出したかどうか?』でそれを「必要なこと」かどうかを判断し、『必要だ!!!』となれば思い出す神経回路を整備するといわれています。
逆に思い出さない(必要のない)ことは『必要ない』として脳のカタスミにうっちゃって置かれるわけです、合理的な仕組みです。
ちなみに、「思い出しニクイ」くらいに「忘れてから」思い出すのがもっとも効果が高く(おおむね一週間後に『思い出す』のが効果的といわれています)。
3回そうやって思い出すと脳はそれを『重要なこと』としてなかなか忘れなくなるといわれています。
私たちが現実で『仕事で必要なこと』を『やばい』と必死になって思い出すことが直ぐに脳に定着するという経験則とも合致しますね。
【記憶しやすいとは、思い出しやすい事】
記憶しやすいこと、思い出しやすいことというのはつまり『必要性が高く』『繰り返す事』そしてさらに既存の知識などと『相互の関連性が高いこと』が上げられます。
既存の知識との関連性はもちろん(よく言われることですが、英語がわかれば、単語の置き換えでイタリア語などを話すことは出来るようになります)、「教わること」が体系化され、相互の関連が把握しやすい事が学習効果を高める助けになります。
「思い出す」ヒントになりますし、ふとした時に「思い出す」頻度も増えるからです。
ちなみにHTMLを開発された時の動機のひとつが『教育効果を高める』ということがあったと言われています。
つまり関連した論文に「ハイパーリンク」が張られているという構造は脳の仕組みに沿った形式なのです。
~閑話休題~
「サマリー(簡易手順書)を作るうえで気にしていること」で、人間は「3回」とか「1週間」とかは覚えられるのですが、「53」とか「231番窓口」「C-3出口」あるいは「部門別>○○係り>□□担当」というような『無機質な文字列』を覚えることを「苦手」としています。ですからサマリーというのは、こういう「無機質な情報を体系に沿って並べたこと」で十分なのです。
情報の並びが教わった「体系」に沿っていれば、人間は「流れ」は思い出すことが出来るもので、詰まるトコロつまり「数字や文字列」を補ってやれば大体物事をうまく進める事ができます。
【忘れることで、脳は「OS」を常に軽量化している】
人間の脳は「忘れる」事で機能の鈍化を防いでいると考えらていれます。
特に睡眠時に人間は脳の老廃物を廃棄し、記憶を整理しているといわれています。
「忘れる」「省略する」事で人間は脳の機能『知性』を常に最適化しているわけです。
Windowsのようなハードの限界を超える事を『覚えてしまう』アーキテクチャーより優れているとおもいませんか?あるいはモズのように「完全に記憶する」がゆえに「紅葉」で景色が変わると餌の隠し場所がわからなくなってしまうこと比較してどうでしょう?
それと同時に記憶をうまく融合させたり、複合させたり、脳のトレーニング(考える、という事です)を行うことで脳の機能を「ソフトウェアで」強化していくことが出来ます。
数学者の脳が『特製』というわけではないのです・・・・・・ですが私たちが明後日数学者になるのは不可能です!!
日々の体験を、関連付けることが上達への早道です。