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古いノートパソコンにmacOSを入れてみた|LIFEBOOK U938/SとVentura(「PCにmacOSを」その1:導入編)

そういうわけで、「古いPCにmacOSを‼」というたまにあるIT回です……すいません‼

使わなくなった富士通の軽量ノート「LIFEBOOK U938/S」に、macOSを入れてみる実験。2026年10月24日の夜から25日にかけて、WindowsからOpenCoreを準備し、macOS Venturaのインストーラーを動かすところまで進めた記録です。

結論を先に書くと、OpenCoreの起動、macOSの復旧画面表示、Wi-Fiの認識、内蔵SSDの初期化、Venturaのインストール開始まで成功。ただし、この記事を書いている時点ではインストール完了・通常起動・GPUアクセラレーションの動作は未確認です。古いPCの再利用実験としてメモしておきます(笑)。

使ったパソコンと道具

機種富士通 LIFEBOOK U938/S(FMVU14033)
CPU / GPUCore i5-7200U / Intel HD Graphics 620
メモリ8GB
ストレージSE801 512GB SATA SSD
無線LANIntel Dual Band Wireless-AC 8265
有線LANIntel I219-LM(今回は使用せず)
起動媒体64GB SDXCカード+USBカードリーダー(MXT-USB)
ブートローダーOpenCore 1.0.8
macOSVentura 13(リカバリー方式)
LIFEBOOK U938/SのUEFI設定でSecure Bootが無効になっている画面(説明用加工画像)
図1:UEFIのSecure Boot設定。起動準備の状態が分かる画面(説明用の加工画像)。

1. まずWindowsからインストール準備

最初にCPU・メモリ・ディスク・ネットワーク機器をPowerShellで調査。macOSの起動に必要な構成を整理し、OpenCoreのmacrecovery.pyでAppleのBaseSystem.dmgとBaseSystem.chunklistを取得しました。取得後のチャンク検証も通過しています。

起動媒体は普通のUSBメモリではなく、手元にあった64GBのSDXCカード。内蔵SDスロットから直接起動するのは難しそうだったので、USBカードリーダーに差し替えて使っています。

2. SDカードから起動できるか実験

FAT32のSDカードにEFI/BOOT/BOOTX64.EFIを配置し、まずUEFI Shellだけ起動するテスト。最初はF12の起動メニューから選んでもWindowsに戻ってしまいましたが、再試行するとShell>が表示されました。

ここで分かったのは、少なくともこの個体ではMBR+FAT32のSDカードをUSB経由でUEFI起動できるということ。ISOイメージ化やGPTへの作り直しは不要でした。

試行メモ:「F12からUSB媒体を選択 ×(Windowsに戻る)」→「UEFI Shellの起動を再試行 ◎」。まず起動口を見つけるだけでも苦労しました(笑)。

UEFI Interactive Shellが起動してデバイス一覧を表示している画面、識別子はマスク済み(説明用加工画像)
図2:UEFI Shellの起動画面。デバイス識別子は伏せています(説明用の加工画像)。

3. OpenCoreのメニューまで到達

U938/S向けにKaby Lake世代のEFI設定を準備。最初のconfig.plistにはHideVerboseの指定が不足していてocvalidateが失敗しました。2項目を修正し、検査PASS後にSDカードへコピー。SHA-256照合まで行いました。

再起動後にはOpenCore Boot Menuが表示され、Windowsと外部64GBのリカバリー候補が並びました。

試行メモ:「config.plistの初期設定でocvalidate ×」→「HideVerboseなど2項目を修正して検査 ◎」→「SDへの配置・照合後にOpenCoreメニュー起動 ◎」。

4. macOSの起動途中で何度も停止

リカバリーを選ぶと大量の起動ログが流れましたが、復旧画面が出る直前で停止。GPUのAAPL,ig-platform-idを00001B59から00001659へ変更しても決定的な改善はありませんでした。

そこでOpenCoreをDEBUG版に切り替え、Target=67でログをSDカードへ保存するように変更。最初は変更をSDへ反映し忘れ、ログが取れずにやり直し。改めてファイル照合を行い、OpenCoreログを取得できました。OpenCoreがmacOSのブート処理を引き渡す段階まで進んでいることも確認しました。

次に試したのが-igfxvesa。Intel GPUのアクセラレーションを一時的に無効化する診断設定です。これを入れると、ついにVenturaの復旧画面に到達しました。つまり、GPUまわりが原因候補として有力ですが、恒久的な修正ができたわけではありません。

試行メモ:「GPUのig-platform-id変更 ×」→「DEBUG設定のSD反映漏れでログ取得 ×」→「再配置してログ取得 ◎」→「-igfxvesa追加で復旧画面起動 ◎」。ここはかなり苦労しました(笑)。

macOS Venturaの復旧ユーティリティ画面、再インストールやディスクユーティリティの選択肢(説明用加工画像)
図3:ようやく到達したmacOS復旧ユーティリティの画面(説明用の加工画像)。

5. 有線LANがないのでWi-Fi対応

手元に有線LAN環境がなかったため、Intel AC 8265用のAirportItlwm(Ventura向け)をOpenCoreに追加しました。GitHubからのZIPダウンロードが極端に遅く、最初は処理が止まったように見えたのですが、ネットワークが遅かっただけのようです(笑)。

Wi-Fi追加後、復旧環境のSafariからAppleのページへアクセスできる状態になりました。ネットワークを使うリカバリー方式で、そのままインストールを進められる見込みが立ちました。

6. Windowsを消してVenturaのインストール開始

ディスクユーティリティで「すべてのデバイスを表示」に切り替え、内蔵のSE801 512GB SATA SSDを確認。外部の64GB SDカードと取り違えないように確認してから、内蔵SSDをGUIDパーティションマップ+APFSで初期化しました。

Windowsのデータは削除済み。インストール先にMacintosh HDを指定し、Venturaのインストールを開始。画面には「あと約2時間17分」と表示されています。回線が遅いので、気長に待つことになりそうです。

ディスクユーティリティで内蔵SE801 512GB SATA SSDと外部64GB USBを区別している画面(説明用加工画像)
図4:内蔵512GB SSDと外部64GB起動媒体の区別を確認(説明用の加工画像)。
WindowsのNTFS領域がマウントされていない様子を示すディスクユーティリティ画面(説明用加工画像)
図5:初期化前のWindows側領域に関する参考画面。NTFSがマウントされない状態(説明用の加工画像)。
macOS VenturaをMacHDへインストールする進行状況の画面(説明用加工画像)
図6:Venturaのインストール進行画面(説明用の加工画像)。

工程別:使ったモジュール・ツールと参照先

以下は当時の導入・診断で使用または準備したものです。導入済みと機能確認済みを混同しないように、未検証のものは説明に明記しました。URLは開発元・配布元または操作資料です。

工程 名前 説明・実際の扱い 開発元・資料URL
Windowsでの機器調査 PowerShell CPU・メモリ・SSD・PCI機器を調査。Windows標準の管理用シェル。 公式ページ
復旧データの準備 macrecovery.py AppleのRecovery用BaseSystem.dmgとchunklistを取得するOpenCore付属ツール。 公式ページ
UEFI起動確認 OpenShell.efi USB経由でUEFI Shellが起動することを確認した診断用ドライバー。 公式ページ
起動の中核 OpenCore 1.0.8 UEFIからmacOSを起動するブートローダー。RELEASE/DEBUG版を使い分けて試験。 公式ページ
構成検証 ocvalidate OpenCoreのconfig.plistの構文・構成適合性を検査。通過しても起動成功を保証しない。 公式ページ
基本kext Lilu ほかのmacOS用パッチkextを動かすための基盤。 公式ページ
基本kext VirtualSMC AppleのSMC相当の機能を提供するエミュレーター。 公式ページ
GPU起動・診断 WhateverGreen Intel HD Graphics 620周辺の初期化と画面設定を補助。復旧到達時は-igfxvesaで加速を無効化して試験。 公式ページ
キーボード・タッチパッド VoodooPS2Controller PS/2系入力装置向け。導入したが機能の完全動作は当段階で未判定。 公式ページ
音声用に準備 AppleALC Realtek ALC255向け音声対応のkext。導入段階では音声出力の実動作未確認。 公式ページ
有線LAN用に準備 IntelMausi Intel I219-LM向けドライバー。用意したが有線LAN環境がなく機能試験は未実施。 公式ページ
RecoveryのWi-Fi AirportItlwm 2.3.0(Ventura用) Intel Wireless-AC 8265の無線通信を可能にするkext。Ventura対応ビルドを利用。 公式ページ
SSD初期化 ディスクユーティリティ 内蔵512GB SSDを外部64GB媒体と区別してAPFS/GUIDに初期化したmacOS標準アプリ。 公式ページ

ここまでの結果と次の課題

項目状態
UEFI Shell起動PASS
OpenCore起動PASS
Ventura復旧環境PASS(-igfxvesa使用)
Wi-Fi / インターネット復旧環境で確認
内蔵SSD初期化実施済み
Venturaインストール進行中・完了未確認
GPUの通常動作未検証(アクセラレーション無効)
SDカードなしの起動未対応(EFIはまだ外部SD)

インストールが終わっても、GPUアクセラレーションの調整、内蔵SSDへのOpenCore配置、音声・スリープ・無線などの動作確認は残っています。またVenturaは古いOSなので、長期常用にはアップデートとセキュリティの検討も必要です。

そもそもApple製以外のPCにmacOSを導入する方法はApple公式のサポート対象ではなく、macOSの使用許諾条件にも適合しません。これはあくまで互換性を調べる個人的な技術実験の記録です。

ちなみに、別件で2013年モデルのMacBook Airもアップデート失敗後にディスクが見えなくなっていて、そちらにも一度OSを入れ直したいところ。古い機械の再生ネタはまだ続きそうです。

記録日:2026年10月24日〜25日。ここまでの本文は作業当時の途中経過をそのまま残しています。

追記(2026年10月26日):その後、インストールと実用化に成功しました

Ventura 13.7.8の通常起動、内蔵SSDからのOpenCore起動、GPUのMetal 3、Wi-Fi/Bluetooth、音声出力まで確認できました。スリープ復帰・内蔵SD・HDMI色表示には課題が残っています。下記の続編で、成功したことと未解決のことを分けて記録しています。

その2|U938/Sの実用化と未解決の不具合
その3|Python不要のAI向けOneShotスクリプト標準

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