トイレットペーパーホルダーの位置が微妙に使いにくい。だったら3Dプリンターで角度付きの楔(くさび)形アダプタを作って、便器側に振ればいいのでは? AIと一緒に設計してみました。
結論から言えば完成しました! ただし、そこにたどり着くまでにV1からV10まで何度もやり直しています(笑)。今回は完成写真と3Dデータ、そして失敗した理由も公開します。
何を作ったのか「3Dプリンターでトイレットペーパーホルダー」
壁面の元の取付金具と、白いホルダー本体の間に入れる楔形部品です。厚い側と薄い側を作ることで、元のホルダーを斜めに取り付けます。設計はBambu Lab A1 mini向け。最終データには10°と15°の2種類を収録。実際に取り付けて完成したのは15°版です。
最初にうまくいったのは、ものさしと現物合わせ
実は先に「金属金具と樹脂枠のすき間」を埋める厚さ3mmの横ずれ防止スペーサーも試しました。AIは最初、不要なネジ穴を開けてしまった。そこで「穴はいらない」と修正し、細い板を3本使ったところ、ちょうどよく収まりました。
この時点で分かったのは、専用の測定ゲージをわざわざ印刷するより、ものさしを当てて撮影 → 寸法を起こす → 小さく試す方が実用品では手堅い、ということです。
ホルダー本体もAIと採寸した。それでも見落とした(笑)
楔形アダプタの設計に向けて、今度はホルダーそのものも計測しました。AIと確認項目を相談しながら、取り付けた状態で横幅を測り、本体を外して裏面の長穴やネジの位置も、ものさしを添えて写真に残しています。
採寸そのものはできていた。ところがAIは、その次の「壁側の穴とホルダー側の長穴を、実際に取り付けた状態で対応させる」という検証を見落とした。 3Dデータは生成できてもネジ穴が遠すぎる……。ここから何度も作り直すことになりました(笑)。
楔形アダプタは、穴位置で何度も失敗した
本体を楔形にすること自体は難しくありません。問題は、壁側とホルダー側のネジをどう接続するかでした。
- 初期:楔の厚い側では長すぎるネジが必要に。ホルダー側の取付部を、斜面に対して一定厚の5mmに修正。
- 中盤:ナットまわりの工具スペースを広げ、不要だった印刷式のナットアダプタを廃止。
- V5〜V8:穴の位置を動かしても、壁側とホルダー側の対応がずれたまま。説明用の図まで実際の穴配置と違う描き方をしてしまい、混乱を増やしました(笑)。
- V9:3Dデータそのものを見直し、薄肉部分やネジの経路を再検査。それでも穴が遠い問題は残りました。
- V10:「もともと同じ場所に付いていたのだから、壁側とホルダー側のネジ間隔を同じにすればよい」と考え直し、両側のピッチを76mmに。壁側の確定位置は保持し、ホルダー側は元の横長穴の調整範囲を利用する設計にしました。
特に大事だったのは、STLが正常な立体になっているかと実物に取り付けられるかはまったく別の検査だということ。3Dメッシュの検査だけを何度PASSにしても、現物にネジが届かなければ意味がありません。
完成版V10の3Dデータを公開
編集用OpenSCAD、STL、Bambu Studioで使う3MF、検査記録をまとめました。データと制作経緯は、AD&Cの共有KB「3Dプリントデータ生成:実用品」の事例としてGitHubにも保存しています。
- V10 全データ一式(ZIP):10°・15°、3MF、STL、SCAD、検査記録
- 10°版(3MF)/15°版(3MF)
- 制作経緯・完成写真・README(GitHub)
- AD&Cの実用品3DプリントPlaybook
※このモデルは今回の実物の寸法に合わせたものです。ネジ径、金具の穴、取付向き、工具のスペース、必要な保持力は各自の現物で確認してください。10°・15°の両モデルについて、独立した荷重試験や長期耐久試験を実施したものではありません。
まとめ:AIに任せるなら「見た目の正しさ」より「取り付くこと」
何度も間違えたのに、最後にはちゃんと使える部品になりました。重要だったのは、AIにもっときれいな図面を描かせることではなく、実物の寸法・ネジ穴・組付け手順という現実に設計を戻すことだったと思います。
失敗も含めて手順に残しておけば、次に別の実用品を作るときは同じ回り道を減らせるはず。そういう意味でも、今回はAD&Cの実地試験としてなかなか良い結果でした(笑)。

