「今度の週末、奈良のどんづるぼうで初心者向けの山歩きルートを探してほしい。白い奇岩と近くの神社も見たい。現地で2時間くらい、電車か車で行くつもり。」
そんな普通の相談を、AIにしてみました。
「山に行きたい」だけでAIはどこまでできる?
普通にすると様々な答えが出てしまうのですがAI(MUSE以外は課金していないとちゃんとは動きません)にAD&Cをインストールすると上のような答えを出してくれるようにしました。
最近のAIなら、コースらしいものはすぐ提案してくれます。ところが、よく見るとルートの距離と時間が別の道の数字だったり、服装や持ち物が抜けたりする。いや、そこを忘れられると困るんですけどね(笑)。
そこで今回、AD&Cの実験として「山歩きルート検索Playbook」を作り、何度か作り直してみました。
AD&Cは、知識・判断基準・作業の続きをAIの外側に残し、必要なときに読み直して使うための仕組みです。新しいAIを作るのではなく、AIが迷わず仕事を進められる入口と手順を用意するもの。概要はAD&Cの共通インストールガイドにあります。
まずは「実際に歩かれているルート」から考える
最初に直したのは、AIに道を「考えさせすぎない」ことでした。たとえばYAMAPで周回コースを見つけたのに、回答では別の往復コースに組み替えて、距離と時間だけ周回の数字を使ってしまう。文章では自然に読めるのですが、地図としては困ります。
そのため、現在の手順では最初の検索はYAMAPの対象コースに限定。条件に合う実歩行ログが確認できればそれを優先し、なければモデルコースを使う。採用できたら、別の山道を探し続けません。起終点・方向・距離・時間は同じ経路のものとして固定し、追加の見どころや交通だけ後で補います。
「検索を頑張る」のではなく、「採用できたら検索をやめる」。これもけっこう大事な工夫でした。
次に問題になったのが、服装と基本携行品
テストでは行程や交通が良くなっても、服装や装備が抜けることがありました。そこで、「速乾服と保温着を」といった文章の前に、まず夏服・春秋服・冬服という区分を確定させることに。
予定月とコースの最高標高で表の1行を選びます。例えば標高999m以下なら、10月は「春秋服」、11月は「冬服」。もちろん季節だけで実際の登山が安全だと判断するわけではありません。表はあくまで服装を忘れず案内するための目安です。
基本携行品には、登山に適した靴、雨具、防寒着、飲料・行動食、オフライン地図、ライト、連絡手段、予備電源などを設定しました。参考資料には警視庁・高尾山岳救助隊の登山者向け案内もリンクしています。警察のリストをそのまま転載したものではなく、AD&Cで実務用に整理したものです。
「こういうところも考えました」(笑)
やっていることは、AIに長い手順書を読ませるだけではありません。むしろAIに無理のない作業順序を作ることに重点を置きました。
下の内容は「フーン」でいんですが、このシカケのおかげで、上の図のような情報が網羅されているのです(笑)
1. 命令はリスト、条件判断は表
「条件に合う行を1つ選べ」と箇条書きで指示し、そのすぐ下に月×標高の表を置きます。表を眺めて終わりにせず、選んだ行IDと値を次へ渡します。
2. 選んだ結果はYAMLのワークシートに置く
人間なら選んだ行にチェックを付けますが、AIには「選んだ値を次の工程でも使う場所」が必要です。そこで、採用したルートURL、距離と時間、服装区分、安全判定、最終回答に表示したかどうかをYAML風の内部結果欄で扱います。
採用経路: URL・起終点・距離と時間 服装: 予定月・最高標高・選択行ID・区分 回答検収: ルート整合/服装表示/携行品表示
YAMLは新しいファイルを毎回保存するという意味ではありません。AIの判断結果に名前を付けて、次の工程へ渡すための形式です。
3. 内部でチェックしただけでは合格にしない
内部ワークシートの「冬服」が埋まっていても、肝心の回答に出ていなければ意味がありません。最後に実際の回答本文を見て、服装区分・具体的な服装・基本携行品が書かれたかを確認します。必須項目が抜ければ一度だけ補完し、それでも確認できなければ未完了として扱います。
4. 安全判断だけは別のゲート
服装の目安を出すことと、実施してよいかの判断は分離しました。専門装備が必要ならYES、重大な安全条件を確認できていればNO、通行・雪氷・下山経路などが不明ならUNKNOWN。YESとUNKNOWNでは、通常装備で行けるという提案を止めます。服装と持ち物は「準備の参考」として伝えられますが、それだけで登山可能とはしません。
5. 「自然な言葉」から手順書を探す入口
もう一つ考えたのが入口です。「山歩きルート検索Playbookを実行」と言わなくても、「キャンプ場から歩いて山頂へ行きたい」といった相談から、共有KBの入口が適切な手順書を選ぶ。逆に「三上山の名前の由来は?」のような話には無理に適用しない。そんな目的別のルーティング表を共有KBのREADMEに追加しました。
ただし、ここに重要な留保があります。READMEにリンクを書いただけでは、新規チャットのAIが自動でそれを読みに行くわけではありません。「入口を渡せば適切な手順を探せるか」と「入口を渡さず自動発見できるか」は別の実験です。
テストしてみて、どこまで来た?
自然な依頼だけのA、共有KBの入口を渡すB、Playbook全文を添付するCの3条件を比べました。Cでは「冬服」などの区分名や基本携行品を含む回答が得られ、利用者側でも改善を確認できました。一方、Bで本当に全文取得したか、Aで自動的に発見できるかは、引き続き切り分けて検証する必要があります。
この記事を作成した2026年10月30日時点ではPlaybook v0.3.9でした。2026年11月2日確認時点で、GitHubの実行正本はv0.4.0(Active/Python検収β)に更新されています。ただし、Python検収の異なるAIでの実行などは引き続き検証段階です。
目標は、利用者が普通に話すだけで、AIが必要な手順にたどり着き、根拠のある回答を返すこと。 足りないことは会話しながら補えばいい。その代わり、ルートの取り違えや安全上の重大な見落としは、できるだけ仕組みで防ぎたいと思っています。
付録PDF|現在のルールと、なぜそう動かすのか
ここまでの話を少し技術寄りにまとめた、8ページの解説PDFも作りました。初めのページにはAD&Cが何のための仕組みかを簡単に書き、後半で検索順序、ルートの固定、服装選択表、YAMLワークシート、安全ゲート、入口設計、検証状況を説明しています。
「山に行きたい」から実在ルートを探すまで――AD&C山歩きPlaybookのルールと作用機序(PDF・8ページ)
※PDFは公開GitHubで閲覧・ダウンロードできます。2026年10月30日に作成したPlaybook v0.3.9時点の解説資料です。現在の実行手順はリンク先のGitHub正本をご確認ください。
まだ全部は動きません。 この資料は試験実装の説明です。Playbook全文を直接渡す場合の改善は確認していますが、自然言語だけでの自動発見、AI間での無条件な自動引継ぎ、山での実地安全保証は未実装・未検証です。実際の登山では最新の現地情報と天候を確認してください。
関連:AD&Cインストールガイド / 山歩きPlaybook現行正本 / 共有KBの入口
試してみる|Muse・AD&C・公開コード
気になったら、実物を触ってみてください。現在、Museでの利用を優先して検証しています。他のAIでの動作は順次検証中です。
- Museに参加する(参加ページ)
紹介コード:
4GA3OD
参加後48時間以内にMuseの[設定]から入力してください。ご提供のキャンペーン案内では、紹介した側・された側の双方に10億Museトークンが付与されます。紹介者にも特典があります。条件や適用状況はMuse側でご確認ください。 - AD&Cの現行インストーラーを取得する(Markdown)
- 開発者の公開コード・資料を見る(GitHub)
AD&Cはアプリではなく、普段のAIに渡す導入手順書です。「実行」→保存先の確認→「進めて」の順で開始します。外部サービスとの接続は本人の許可が必要です。AIごとの導入成功・自動再開は未保証です。

