ボーイスカウト活動はなんとなく「キャンプしている」とか「登山している」とかのイメージがあると思います。
それはもちろん部分としては正しいのですが、全体としては「スカウティング」をしている団体です、「スカウト」というのは「斥候(偵察)」の事です。
【野外で『生活できる』人への道】
ボーイスカウトの一番基本の手引きは「スカウティング・フォア・ボーイズ(少年のための斥候術)」という本です。
スカウティングというのは野外における活動、しかも現地調査(地図作成)をして、必要とあれば相手に悟られずにいれるという事、僕に言わせれば「(野外)生活力」のある人を作る活動・カリキュラムです。
ベーデン・パウエル自体インドやアフリカで現地の地図を作るチームを創造・指導し、その経験を元に書いた本「斥候の手引き」がスカウティング活動の源流になります。
この「手引き」を本国イギリスで少年たちが「野外活動の手引き」に応用しているのを知ったのが「ボーイスカウト」の始まりになります(この時すでに始まっていたとも言えます)。
スカウトはですから「登山者(クライマー)」ではありません。
数あるフィールドの中の一つとして「山」に接することを求められていますので、「ロープワーク」はやっても「クライミング」は重視されません。
こと『登山技術』においては現代的な基準からするとやや遅れている部分もありますが、それはスカウト活動の方向性ではなく『指導者』側がアップグレードすることが間に合っていないという事情によるものです。
【実践的技能習得を通じた「成長」】
『有事において、地域に貢献できる人材』になっていく過程で、『健全な肉体』……決してムキムキというわけではない!!とわざわざB・P(ベーデン・パウエル)は述べます。
そして『精神』……ボーイスカウトの肝は次に述べる『チームリーダー体験』です、人に「教える」事ほど知性と精神を育てるものはありません……を身につけることを目標としています。
学ぶということは「知る」事です、本を通した学びも広がりを確保する上では重要ですが、それを活用する上でのの土台になるのが『実地の体験』です。
実際に『やってみる』事、そして『現実に対処してみる』事で「知」は『机上の空論』ではなく有効なツールになっていきます。
……ちなみに、ボーイスカウト活動は(よく聞かれるのですが)特定の宗教や団体と関係ありません、日本の団でも「地域のロータリークラブ」や「神社(大阪天満宮も団を持っています)」「寺」、「教会」など背景は様々です(多分フリーメーソンがスポンサーの団もあるんじゃないかとは思います)。
ただし近年は「無理」を防ぐためにこういう「支援者」が無いと新しい団を創ることはできなくなっています(なんにせよお金のかかる日本ではいくばくかの『寄付』とせめて『場所』が無いと苦しいのです)。
【チーム活動の先駆者】
ボーイスカウト活動の最大の特徴は「チーム活動」ということです。
「チーム活動」というのは、現代では珍しくありませんが(と、言いながらチームで意思決定をして、メンバーを育てる、「本当の意味でのチーム制」が日本社会でどのくらい浸透しているかは疑問です)、当時は『斬新』なことでした。
ボーイスカウトでは「チーム(班)」ごとに「リーダー」「サブリーダー」を決定し、彼らが「チームメンバー」を指導します。
「大人」は?もちろんこれらを補佐し、ケースによっては『団全体としての』方針を決めたりすることはありますが、この「チーム」の中を直接指導することは基本としてはありません(まあ、会社に直せば「たまに社長が教えてくれる」みたいなものであくまで例外)。
チームでの「共育システム」こそがスカウト活動の最大のポイントです。
B・Pは別に「道徳的教師」としてスカウト活動を作った訳ではありません(それどころか本人は「僕は本を書いただけ、活動を作ったのは少年たちだ」と語っています)。
B・Pは変わった人で、あの独特のハットの折り方を『発明』したり、突然手品を披露したりと、さまざまな「面白い」逸話が残されています。
スカウトとしてのスキルも「兄弟とのキャンプや、学校で立ち入りが禁止されていた森に忍び入る遊びのなかで身に着けた」と告白してみたりします。
指導法も具体的なやり方を「例として」示す事はあっても、基本的には「サイン」とよばれる「暗喩」を通すもの(……と、いうことは意味を解釈し、実現する方法を考える必要があります)で上から下まで事細かに決定する「指示」とはかけ離れています。
さてこの、ベーデン・パウエルですが(もうバレてると思いますが)、実は当時の英軍の「スカウト隊」を設立した張本人でした。
当時の軍というのはナポレオン戦争の直後で、まだまだ「右向け右!!」の『大軍指導方式』でした。
ですが当時のイギリスは(善悪は置いておいて)世界の各地に植民地を持ち、それぞれの地域を『統治』する必要がありました。
軍と軍の測量隊などもこういう形で現地に入りました(日本の地図も明治時代に陸軍の測量隊によって作成されています、当時においては当然地図や鉄道は『軍事』のカテゴリーの時代でした)。
ただし、こういった「現地(インドとかアフリカ)」はいろいろな意味で「本国ヨーロッパ」とは違います。
ちょっと『ヨーロッパ街道』(という道があるのか知りませんが)を通って、旅行者のふりをして調査に行く……という訳にはいきません。
ヨーロッパではいっぱしの「軍隊」でしたが、残念ながらこういう『野生の土地』では役に立たなかったのです、特に「情報収集」の部分で。
ベーデン・パウエルはこの「斥候隊」を率いる有能なリーダーでした、そしてついには『斥候術』のスペシャリストとしてこの「斥候隊(スカウティンググループ)」全体を指導する立場になるのです……『秘密の森』へ出入りして技能を磨いた少年としては長足の出世でしょう?
さて、そこで特徴的だったのが「技術指導」だけでなく「組織」でした。
ボーイスカウトで採用されている「チーム単位」での独立した行動と、トレーニングの仕組みは文字通り「実戦」を潜り抜ける中で確立された『強力な仕組み』なのです。
さらにチームでの『共育』……お互いに教えあうために、スカウト活動では『技能章』という仕組みでお互いに何が得意かを『見える化』しています、『ロープワーク』『野営』『料理』『自転車』『空手』はおろか『コンピューター』なんていう章もあります。
ですから、ボーイスカウトは、そうですね例えば「空手の道場」のような「実技共育」の団体であると言えます。
ちなみに、大会社「イギリス軍株式会社」としてはこういう「例外的な仕組み」を残したくなかったのでしょう、この「スカウトチーム」は時に解体されたり、再編されたりを繰り返しますが、この「独立性の高いスペシャルチーム」の伝統はイギリス軍と『社会』の中に残り続けます。
第一次大戦勃発時にはスカウトたちは共同して地域の生活を支え、沿岸警備隊の職務を助けた(シースカウト)とされています。
そして第二次大戦時にいち早く「特殊部隊」を確立し、活用したのはイギリスでした(アメリカやドイツも追随しました)。
そして現在ボーイスカウト活動はほぼ全世界に広がっています。
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